“三越にみる外商の接客術”

数日前の日経MJの特集。

百貨店の個人外商というと得意客の自宅を訪問するイメージがあるが、現在三越では来店して商品を買ってもらうのが基本になっている。
納品などで自宅を訪れる機会もあるが、商売の話が出ることは少なく、趣味の話などで盛り上がることがほとんど。
しかし、こうした雑談の中にたくさんのヒントが眠っている。
なにげない会話から、お客様が次に何を必要としているのかを見つけ出せるかどうかで販売成績が大きく変わる。

雑談からヒントを得るためには、顧客の生活に密着することが欠かせない。
旅行が間近の顧客にはカジュアルな衣料やデジカメを提案するという細かい配慮が必要。
顧客とは顔を合わせて話すのが基本。会えなくてもこまめな連絡を欠かさない。
しかし、得意客の生活に近づくことが必要でも、一方で超えてはいけない一線もある。
言葉遣いだ。
親しさを表すため、敬語ではなくくだけた話し方をすると、お客様は受け入れているように見えても、必ず関係が壊れる。仲良くなっても、販売員と顧客という関係は崩してはいけない。

顧客の買い物の内容を他言することも禁止だ。
親族などがトラブルになりやすい。得意先から新規の顧客を紹介されることも多く、顧客同士の関係を把握することが商売をすすめる上でもかかせない。

店舗や商品についての情報収集も必要。
商品についてはお客様の方が詳しいことが多いから勉強は欠かせない。

担当者は半期をベースに販売計画を立てている。
顧客ごとにこれまでの販売額をチェックし、雑談から集めた情報を組み合わせて推測していくという。

毎年数億円レベルの販売を維持する秘訣は特別な話術などではなく、こつこつと積み上げた情報のちからにある。